場所打ちグイとは、貫入あるいは堀削方式によってあらかじめ地盤内に孔をあけ、その孔の中に現場打ちで鉄筋コンクリートのクイ体を作る工法を総称するが、ここではベノト工法(揺動式オールケーシング工法)、リバース工法、アースドリル工法によって作られる場所打ちグイを対象とする。場所打ちグイは既製グイと異り、より大口径で長尺のものを作り得ること。騒音・振動の少ないことなどの点について有利であるが、斜グイの施工および高い被圧地下水、または伏流水のある場合などでは不利とされている。さらに場所打ちグイは文字通りすべての作業が現場でおこなわれ、しかもクイ体は地盤中または水中の目に見えない場所でおこなわれるのが一般であるから品質や出来形の管理・検査が困難で、施工管理上問題が多いといわれている。北海道開発局における施工実績は、昭和39年に豊平橋において揺動式オールケーシング工法により、直径1m長さ8~12mのクイが55本施工されてから、すでに10数ケ所に達している。リパースサーキュレーション工法を採用した一例を除きすべて揺動式オールケーシング工法を用いているのが特長的である。この間、昭和43年には橋りょう担当者の貴重な施工経験を基礎に「鉄筋コンクリート場所打ちグイ」の仕様書を作成するなどの努力が行なわれてきた。また建設省では全国的な施工実績を集めて昭和44年「場所打ちグイ積算資料(ベノトグイ)」が策定され、現行の積算歩掛として利用されている。現在までの局内における施工結果では、クイの機能低下や、やり直しなどの重大なトラブルはほとんど報告されていないが、小さな施工中のトラブルはすべての工事につきまとっているようである。出来上ったクイの品質については、ほとんど実態が分らないといってもよく、調査例も極めて少ない。しかし、建設省で実施した調査例によると、単位セメント量390Kg/m3、水セメント比41%、スランプ15~18cmのトレミーコンクリートが、材令160日における圧縮強度の平均値で319Kg/cm2(28日換算圧縮強度209Kg/cm3)、変動係数31%であったと報告されているのは興味深い。本文は、すでに公表されまたは今回公表予定の橋りょう工事報告などを参考として、2、3の問題点について検討を加え、現行仕様書および設計積算基準改訂の資料に供しようとするものである。 |