一般に、支持層が深い位置に存在するような地点に重量構造物を構造する場合、その基礎型式としてクイ基礎または、ウェル基礎が採用される。鋼管セル型ウェル基礎は、この両基礎型式の長所を取り入れた一種の合成基礎とも考えられる。この工法は、基礎の剛性ならびに受圧面積の増加を計ることを目的として、長グイと短グイそしてそれらのクイを軸方向に沿って連結させるジョイントパイプの三者を組み合わせて所定のセル型に併合するものである。ケーソン基礎と比較すると、鋼管を打ち込み基礎を形成するため、施工性クイ打設時に高度な技術を要求されるが、極めて安全である。また、工期の短縮、工法の簡略化を考慮すれば経済的にもなることが数現場の施工例で実証されている。特に軟弱層が深くまで存在するような地盤に、長大な橋りょうを築造する場合、鋼管セル型ウェルのもつ長所をより有効的に生かすことができると考えられる。しかし、本工法は最近開発されたものであり、その支持機構については未解明な点が多く、今後の試験調査を通じ解明していかなければならない問題点が多い。本年度(昭和45年度)から数ケ年にわたり鋼管セル型ウェルに関する現場実験を行なうが、今回はその実験計画概要と本年度実施した試験結果の報告を行なう。 |