一般に我が国全土は地震活動の活発な地域であり、特に北海道の太平洋沿岸一帯はしばしば地震による災害を受けている。地震による災害は特に過湿地帯に多く、本道に広く分布するいわゆる泥炭性軟弱地盤地帯において著しい。このように地震活動の活発な日本において早くから地震の記録、測定の研究が行なわれていたが、構造物に被害を及ぼす強震以上の記録は非常に少なく、構造物の耐震設計上資料の不足が痛感されていた。そこで昭和26年、文部省試験研究費により地震および地震工学者、地震計測器製作会社などによるSMAC(Strong Motion Accelerometer Committee)が設置され、昭和35年SMAC-B2型の一応完成された強震計が開発され、以後主としてこの種の強震計により強震観測が続行されている。北海道開発局では昭和41年度に帯広開発建設部管内の千代田大橋に3台SMAC-B2型強震計が設置されたのを初めとして、以来年に2~3箇所づつ設置し強震観測を行なってきている。本文ではこの強震記録のうち1968年5月16日の「十勝沖地震」と1970年1月21日の「日高山脈南部の地震」によるものを対象として若干の解析を試みたのでその紹介をし、一方強震計設置地点での常時微動の観測結果との比較を行なったものである。強震記録と常時微動の記録を解析することによりその観測地点での地盤の振動特性を知ることが出来る。なお解析には後述する掃引発振器(ある地域における周波数成分のみ選択、検出できる発振器)により自動的に振動特性を記録させる方法をとった。 |