草地開発の急速な伸展は、草地造成における機械化に拍車をかけ、かつ、その大型化をも促している。そして今後の草地開発を展望するとき、草地造成作業の機械化に対する要請は益々増大するとともに、その機械開発や改良利用も積極的に推進されるものとおもわれる。農業全般にもみられるこのような大型機械利用の傾向は、経営規模の拡大、土地基盤整備、省力的高生産などへの指向や他の社会経済的背景からみると、必然性をもつものであり、また実際にも高い効能を示している。農業機械化の指標は効率的、省力的かつ安価に高位、良質と生産を得ることにあるが、草地造成においても例外ではなく、しかも、その機械化技術の巧拙はこれら諸要素に多大な影響を与えるものと云えよう。このような観点で北海道の草地造成における機械化の現状をみると、適地適作業とおもえる利用形態には至らず、機械化体系としてはむしろ模索的段階にあると云える。したがって、草地開発を進めるためにはまず、効果的な機械化による草地造成技術体系を明らかにする必要がある。本小論は草地開発における上記の問題意識から、自然立地と飼料生産形態に対応する大型機械や関連作業機の導入利用法を検討し、合理的かつ効率的な草地の機械化造成体系を見出そうとするもので、次のような内容構成に拠っている。1.『草地』とその類別2.草地造成の需要と可能性3.現行の草地造成法4.草地造成作業と基本分類5.現行機械化造成作業の考察6.草地造成作業機械の特性と分類7.自然立地と造成作業技術8.草地の機械化造成作業体系本報では、草地の性格、分類に触れながら草地利用概念を論じ、次いで草地造成法の現状から作業内容による基本分類を試み、さらには作業機と自然条件の関係から現行機械化作業における問題点の考察など、1~5の各事項について述べる。 |