積雪寒冷地である北海道での融雪期3月~5月の河川流出量は、年総流出量の約45%を占めている。(イ)融雪流出の特徴は、大きな流量が生ずる時間が長いこと、(ロ)各年の流況は、夏季降雨による流出量に比較して安定していることである。このことは、積雪寒冷地特有の河川災害発生、水利用のパターンを形造っていることを示している。近時、河川工学では、防災、水資源開発の分野から、河川流況の制御システムの研究が行なわれているが、本文は、筆者らが石狩川において調査研究を行なっている「河川流況に関する動態学的研究」の一環として検討した「桂沢ダム集水域の融雪水の挙動」についての研究成果である。本文では、融雪流出に関して、貯水池を効率的に利用する場合の流出予測調査、流出予知について考察を行なったものである。それを要記すれば次のとおりである。(a) 桂沢ダム集水域の積雪調査法に関する考察(b) 桂沢ダム地点における気温特性に関する考察(c) 気温と融雪量についての考察(d) 融雪水の流出解析法(e) ダム貯水池への融雪流入量の予知法についての考察融雪流出に関する研究は、すでに多くの研究者によって、積雪、気温の物理学的研究、河川への流出に関する水文学的研究が行なわれているが、本文では更に、防災計画、水資源の有効利用に実用化することを試みたものである。 |