最近、ボックスカルバートの設計の面で、いろいろな問題点が提起されているが、その中でボックスカルバートは構造的に横断方向のボックスラーメンとしてよりも、縦断方向のハリとしての曲げに対しての方が剛性が小さく、はるかに弱いので、カルバートの縦断方向の安全な設計を如何なる方法を用いて行うべきか、ということが一つの大きな問題となっている。昨年度、開発局でひ門、ひ管の事故調査を実施した際に、カルバートく体の横断方向のクラック、ジョイントの開き、く体の縦断変形などの事故が目立って多かった。これは、カルバートが道路や河川堤防を横断し、水路として利用されているのを考えると全く好ましくない現象といえる。この際、カルバートの縦方向の安定性について、多くの現場から資料を収集、検討し、最適な設計方法を早急に確立する必要がある。以上のような観点より、当土木試験所でも、数年前から数々の現場で応力調査を実施し、いろいろな問題点を検討して来た。今回、調査の対象となった月寒川7号ひ門において、く体中央に設けられたジョイントの部分が、埋戻し開始とともに開きはじめ、く体頂版上1.3m盛土した時点で、最大量32cmにも達した。これは、地盤の縦断方向の側方流動により生じた水平力が大きく作用したのが原因と思われる。また、月寒川7号ひ門の他に、ワンスパンである望月寒川1号ひ門も応力調査を実施した。そこで、本報告はワンスパン、ツウスパンのひ門の応力調査を通し、特にカルバート縦方向にどの程度の水平力が作用しているか定量的に把握するため検討した。 |