本工事ケ処は一般国道229号、雷電国道の岩内町カバソマナイにある。当雷電海岸は海抜1.203mの雷電山を主峰とする山々が、急斜面と屹立する岩壁となって海岸に迫り、奇快な形態の地形が連続し景勝の地となっている。また開通以前は蝦夷西海岸の交通の難所として有名であり、このため古来義経にまつわる幾多の伝説もある処である。当国道の岩内町島野と蘭越町磯谷を結ぶ、延長16Kmの不通区間は、昭和26年10月より改良工事に着手し、以来12年間の歳月と832,000千円の費用を投じ、昭和38年10月に開通、それと同時にニセコ、積丹、小樽海岸国定公園に指定され、南後志の地域開発と観光産業の発達に寄与し、現在1,850台/日の交通量を有する幹線国道である。しかし当国道の岩内町敷島内より蘭越町イセバチ間の約10Kmは、特に100m以上の崖と海とが近接していて、その間に崩落物の推積土があり、その上に道路を造った区間で、開通以来、融雪時期と大雨の後は多くの事故が起きている。特に昭和43年8月には車滝地区で、3,000m3におよぶ絶壁上からの土砂崩れと、昭和45年3月と同年11月にはイセバチ地内で落石と土砂崩れによる山留擁壁が欠壊し、人身事故におよぶ被害があった。本工事ケ処も落石が多く、特に屹立する岩壁には大きな縦割れ目があり、最近岩壁表面のハダ落ちが頻繁となって来たので、その土割れ目が進行の状態であると考えられ、崩落の危険性が増大したので、当覆道工事を計画、昭和46~47年と2ケ年に渡り実施中である。この報告は、その計画と設計の概要を報告するものである。 |