寒冷地帯に道路を建設するとき、その最大の問題点は、どのように凍上現象に対処し、その被害を最小限にくい止めることができるかにある。この解決にあたり、我々は古くから、調査、研究および経験をかねてきた。その結果、各地区ごとの凍結深さのおよそ80%を、凍上を起こしにくい材料で置きかえる方法、いわゆる「置換工法」が採用され、これが北海道の場合、凍上対策工法の主役となってきた。置換材料としては、砂利、砕石、砂、良質の火山灰などであるが、砂利が最も多く用いられてきた。この砂利は無尽蔵にあるべくもなく、採取可能量に限度があること、および価格の上昇は置換工法に問題を投げかけている。さらに交通量の増大に伴う路盤の強化等の問題もからみ、置換工法の再検討がなされつつある。数年前より、新しく採用されはじめた「断熱材工法」は、置換工法の補助工法、あるいは置換工法に代わるものとして注目された。開発局土木試験所などにおいて、断熱材工法を試験的に施工し、その調査結果が報告され、本工法に多大の貢献をしているが、旭川開発建設部でも小規模ながら旭川市、名寄市、占冠村の三地区において、試験的に断熱材を施工し、その調査は今後も数年継続する予定である。本報告は、現在までの三地区の調査結果の概要を報告するものである。なお、本報告を第1報とし、今後の調査結果をまとめ、次の機会に報告する予定である。 |