河川の流出成分には、河道降雨、表面流出、中間流出、地下水流出の4成分があり、前3者を直接流出といい、比較的短期間に流出する。これらに対して地下水流出は長期間にわたって流出するもので無降雨時の河水をかん養している。雨水の河川への短期流出を適確に予測することは、治水面できわめて重要な課題であり、早くから多くの推定方法が試みられ、実用化されてきた。それに比べ、長期間の流出の推定については、利水面で重要なことであるが、流出率が、降雨量もさることながら、むしろ蒸発散量、浸透地下水の流出といった定量的な把握が困難な要素が多いため、その推定法を確立しようという研究はようやく近年になって、盛んになってきた。北海道開発局においても、この長期流出の研究の必要性にかんがみ、「利水計画における流況把握の研究」、「利水計画に関する調査研究」として昭和39年度より本格的に取り組まれている。この調査研究の目的は、地下水量および雨水の浸透能を把握することであり、河川流出について北海道の地域的変化を検討して、水資源利用に関する一資料としたい。本年度は地下水流出に最も関係ある長期損失率について調べてみたが、問題の提唱を試みたものである。 |