最近の施設、機械の大型化、建設工事量の増大など、人口の増大に伴なう開発事業、経済活動の進展は、地盤振動による弊害を増加させる傾向にある。このため今日、公害対策基本法の制定、振動許容値の指導基準のとり決め、各種振動軽減工法の開発など、種々の施策が進められている。また建設工事振動対策指針(案)が発表されたのもつい最近のことである。地盤振動の軽減対策は、次の3つに大別される。(1)振動源における対策、 (2)伝播経路である地盤に対する対策、(3)振動の対象物に対する対策防振対策の大原則は振動源を抑制することであり、これに関しては産業機械の防振例が幾つか報告されている。建設工事では、くい、矢板の打ちこみなどの基礎工事に無音無振動工法が各種開発されているのは周知のとおりである。振動の対象物に対しては、防振設計、防振材料の開発など、この方面の研究も進んでいる。本報告で述べる振動軽減対策は、上述(2)の場合に担当し、施工機械や交通機関によって発生する地盤振動が、その伝播経路である地盤を改良することにより、またオーバーレイによって路面の平坦性を改善したり、土中に矢板を打設する、溝を掘るなどによって、どの程度まで軽減するかを調査したものであり、今後さらに増加するであろう公害としての振動問題に対して、適切な処置を見出そうとするものである。 |