本試験は、昭和46年度から実施され、46年度の第15回開発局技術研究発表会ではその目的、計画について、また主な調査試験対象である幌向試験場の事前土質調査、さらにサンド・ドレーン工法、サンドコンパクションパイル工法、生石炭パイル工法など在来基礎処理工法の施工経過、および動態観測について詳しく報告した。今年度は、昨年に引き続き、既処理工区のパイルおよび基礎地盤の強度変化、ならびに周辺地盤の変動などを調査観測し、さらに無処理工区を設けて試験盛土による基礎処理効果の比較検討を行った。またこれら対策工法は、泥炭性地盤のもつ特殊性のため、効果のうえで適用上限界があり、有効適切な効策工法の開発が望まれているところから、砂、切込砂利、などの骨材にセメントを添加、空練りしたものを地盤にパイル状に打設するとともに、盛土荷重の大部分をこの強化パイルに支持させるために、強化パイル頭部に工夫をこらした工法を考案した。これらを新工法と称し、同工法の効果について調査検討を行なった。この調査検討に際しては、圧縮性が大きく、しかも酸性の強い泥炭地盤に打設されたこのような強化パイルの強度に関する基礎的試験を行うとともに、現地試験場に、盛土を伴う試験ブロックを設け、同工法の効果に関する現地調査を行った。また、泥炭性軟弱地盤の基礎処理と併せて表層部の安定が重要視され、特に近年入手が容易であり、しかも比較的安価な化学合成繊維からつくられる繊布、ネットなどの使用度が高まっているところから、基礎処理試験場にシート工区を設け、泥炭性軟弱地盤の表層安定処理効果について調査試験を実施した。ここでは主に、今回考案した、ブロックキャップサンドセメントパイル工法、異形サンドセメントパイル工法の効果ならびに実用上の問題点を、在来工法のそれと比較しながら検討するとともに、各種シート工法の効果を無処理工区と対比させながら検討した結果について報告する。 |