北海道での畑地かんがいにおける主要作物の地域別増収効果については、先きの第15回技術研究発表会において、小林技官により、「畑地かんがいにおける作物増収効果について」の中でこれまでのデータを中心に解析したものが発表されていますが、本報告は、これを補完するものとして、本年度(昭和47年)が近年にない異常乾燥年であったことから、主要作物について本年度の圃場試験成績を中心に解析し、これら作物増収効果の精度を高めると伴にその発現機構のアプローチに役立んとせんとするものである。即ち、作物の生理現象を究明する場合、その検討すべき要素を異常状態において観察することにより正常状態では明確に把握できない動きを把えることが可能となるからである。この典型的例には肥効に関する三要素試験等がある。本年度は幸にして、全道的に7月、8月が近年にない寡雨と言う異常気象にそうぐうしたため、作物の水分環境による変化をみるには、先きに述べた如く、恵まれた条件であったことから、特に本年度の圃場試験の結果を平年値と比較検討することにより、かん水効果の特性を明らかにせんと試みたものである。検討にあたっては、北海道開発局が所管して実施している畑地かんがい試験圃場のうちから札幌開発建設部管内の浦臼試験圃場および帯広開発建設部管内の芽室試験圃場、網走開発建設部管内の小清水試験圃場の3地区を選択した。 |