昭和47年の十勝地方の気象は、7~8月の降水量が、帯広測候所開設以来の記録的な少雨で7月は24mm(第2位)8月は26mm(第1位)であり、9月に入って、7日の18.8mm、16日の台風まで干ばつは続いた。この間の土壌水分は、十勝地域畑かん試験てん菜ほ場(北農試畑作部)の例では、8月1日以降テンショメーターの測定限界をこえ、8月10日以後、初期萎凋点以上に乾燥したと推定される。そこで、管内における干害の実態を明らかにする目的で、てん菜を検定作物にえらび、葉の萎凋程度を5段階に分けて、集計平均する方法で、各地の干害程度を記録し、あわせて土壌条件との関連を調査した。その結果、干害と土壌条件との関連については、土壌型に関係なく、50cm以内に礫層が出現すると干害が最も著しく、それについで、沖積土壌でFSより、粗い層、乾性火山灰土壌でパミス層が根圏に介在する場合、湿性火山灰土壌では50cm以内に難透水層が出現する場合等で干害が著しかった。この調査を北東部を除く、十勝全域で行い、被害分布図を作成した結果、管内の被害面積は約5万haに及んだとみられる。この中で特に、札内川、音更川流域の沖積地に著しく、そのほか、乾性火山灰土壌では、芽室町南部高台、湿性火山灰土壌では本別町西仙美里の被害が目立った。 |