草地開発事業が、公共事業に組入れられてから、すでに10年の年月を経過し、その間に開発局が調査計画を実施したのは、国営、道営、共同利用模範牧場を合せ、48地区にのぼり、現在、事業実施中のものは、13地区、48年度の総事業費は、1,920万円となり、事業効果も上昇し、今後も北海道の、基幹事業としての前途は明るいものである。草地開発事業の発足当時は、国営の採択基準は、1,000ha以上、その後、700ha以上となり、現在は500ha以上となっている。未利用地の多い北海道とはいいながら、500ha以上の土地利用計画を樹立するのは、その散在状況、所有状況等を考えると、非常に困難となって来ているのが、実状である。となれば、土地利用の面で、周辺の傾斜地の積極的な取り込みなどが考えられる。傾斜地の取り込みは、土地利用の面では有利な点はあるが、完成後の管理面からみれば、必ずしも、有理とは云いきれない面もある。草地造成の場合、機械施工の傾斜限界は20°まで可能とされながらも、採草地の場合は、12°以上の傾斜地は対象から外されている。これは導入機種、管理機械の能率等の問題から考慮されることであるが、現在、多く利用されている。管理用機械の実用的、作業限界が充分に把握されていないことにも原因があると思われる。これらの問題が解決されたならば、土地利用、機械の撰定、作業体系等が、大きく、変り得るものと思われる。これらの問題の傾向を見出す一段階として、傾斜地用トラクタ、その他草地管理用の機械を現地に搬入し、実用的作業限界の基礎資料を得るために各種の実験をした。これはその内の、特に走行試験についての報告である。 |