積雪寒冷地では、凍結防止剤が使用できない低温地域における冬期道路管理の凍結路面対策として、焼砂や砕石のような防滑材を散布しているところである。特に、スパイクタイヤの使用規制以降、「つるつる路面」と呼ばれる非常にすべりやすい路面の出現により、渋滞、事故が発生し、その対策として大量に防滑材が使用されている。散布したこれら防滑材は、車両の走行などにより飛散し、その一部が路面や路肩等に残留・堆積するため、積雪の無くなる春先に路面清掃を行い処理しているところである。そこで筆者らは、北海道の基幹産業である農産物の甜菜(ビート)から砂糖を製造する過程において発生する精糖残渣を防滑材として利用することを検討している。ライムケーキとは、甜菜(ビート)より抽出した糖汁から不純物を取り除くため、この糖汁に消石灰と炭酸ガスを投入し、濾過によって糖汁を取り出したあとに残った副産物(残渣)で、年間20万~25万トン発生している。そのうち、約14万トンが農地還元等に再資源化されているが、残りは産業廃棄物として埋め立て処分されている。このライムケーキを有効活用するために、道路維持資材としての使用が検討されており、その用途として固形化したライムケーキを防滑材として利用することが考えられた。このライムケーキを利用した防滑材は、車両走行による破砕や終冬期の融雪水による溶解・路外への流出により、春先に実施している路面清掃の軽減が図れるものと期待している。本報告では、凍結防止剤・防滑材の散布手法の多様化を検討するため、ライムケーキを活用した防滑材の利用可能性について試験道路にて散布試験を実施し、路面のすべり抵抗値を測定することによってその散布効果の評価を行った。 |