平成19年4月から「港湾の施設の技術上の基準」が性能規定に改訂されたことに伴い、耐震強化岸壁で考慮する地震動が見直され、地震を想定して施設毎に地震動を算定することとなった。この地震動を算定する際に行う地震応答解析は、適切な地震動の算定や地層構造の設定(地盤パラメタの設定)が重要であり、地震基盤(Vs≧3000m/s)から地表面までの地震波形の増幅特性を評価するために対象地点の強震観測記録及びサイト特性の評価とともに、工学的基盤(Vs≧300m/s)から地表面までの表層地盤の把握が必要である。石狩湾新港は、北海道の日本海に臨む石狩湾沿岸のほぼ中央に位置し、道内の政治・経済の中心である札幌圏に位置する港湾として、同圏における物流と生産機能を分担する拠点港を目指し整備が進められている。同圏では「石狩低地東縁断層帯」を震源とする大規模地震が、石狩湾新港と背後圏の発生が懸念されており、本港は緊急物資輸送を担う耐震強化岸壁の整備に着手した。当該施設の設計においても、レベル2地震動は、サイト特性の評価、震源パラメタ設定、強震観測記録の評価、表層地盤の評価を行い算定している。そのうち、本報告では、同岸壁における耐震性能照査を事例として、地盤調査の違いによる地震応答解析への影響について考察する。 |