我が国における交通事故死者数は、昭和46年にピークを迎え、第1次交通安全基本計画が策定された後、死者数は急激に減少し昭和54年に半減するまでに至った。しかし、免許保有者数、自動車保有台数、自動車走行台キロの伸びとともに、死者数は増加し続け、平成4年に2回目のピークを迎えた。その後、再び死者数は減少傾向となり、平成19年は、5,743人まで減少し、昭和28年以来54年ぶりに5千人台となった。交通事故死者数の減少要因は、道路整備を含む様々な交通安全対策が講じられたほか、車両の安全性向上や社会情勢等の変化も影響しているものと考えられる。道路整備の促進に着目すると、昭和46年の第1次交通安全基本計画策定以降、様々な交通安全対策が講じられた。しかし、近年の厳しい財政状況の中、限られた予算内で効率的・効果的な交通安全対策を推進することが求められており、交通死者数が減少することに寄与した多様な要因を分析し、各要因の影響を明確にしておくことは、対策の立案・実施の上で必要である。筆者らは、道路整備による道路の安全性に対する効果を事故データから評価を行っているが、死者数減少要因には道路整備以外の様々な要因が含まれているため、道路整備による効果のみを評価することは難しい。そこで、本研究では、近年の交通事故死者数の減少の特徴を踏まえ、道路整備の安全性向上に対する効果について道路利用者の意識から主観的評価を行うため、意識調査を実施した。 |