天塩川は、その源を北見山地天塩岳(標高1,558m)とし、士別市、名寄市などがある名寄盆地の農業地帯を潤しながら北へ向かって流れ、天塩町で日本海に注ぐ、幹川流路延長256km、流域面積5,590km2の日本最北の大河である。本河川は、河口から約158kmの区間には堰等の河川横断工作物が設置されていないこと、豊かな自然環境を有していることなどから、カヌーで上下流を縦断する「ダウン・ザ・テッシ・オ・ペッ」をはじめとする各種カヌーツーリングが盛んである。天塩川の環境は、上流部では天塩川源流部周辺が天塩岳道立自然公園に指定され、水際にヤナギ類を中心とした河畔林が広がっており、中下流部の幌延町、中川町、美深町では、サケ捕獲場が設置され、サケのふ化増殖事業も行われている。また、下流部では、サロベツ湿原を含む利尻礼文サロベツ国立公園が広がり、緑豊かな自然と動植物が見られ、本支川にはサケ・サクラマスが遡上し、広く自然産卵が行われている。このような中、平成19年10月に天塩川水系河川整備計画が策定され、その中に「魚類等の移動の連続性及び生息環境の保全」が謳われており、現在旭川開発建設部では、河口158kmより上流に設置されている7頭首工の内、5頭首工に魚道施設が設置されていないことから各関係機関と連携・調整し、魚類等の遡上障害解消に向けた天塩川流域における「魚がのぼりやすい川づくり」の整備を行い、サケ・サクラマスなどの回遊魚等の生息域が更に上流部へ広がるよう取り組んでいる。この度、その施設の一つである下士別頭首工において、関係機関との調整が調い平成18年度に魚道の設置を行ったので、その紹介と機能・効果及び今後の課題等について考察し報告するものである。 |