近年、人々の価値観は高度経済成長期の量的充足から、質的向上による豊かさを求める風潮となり、多くの自治体では独自に景観条例を制定し、これに基づくさまざまな取り組みが実施されるなど、景観を取り巻く状況が変化している。札幌市においても平成10年に『札幌市景観条例』が制定され、多くの景観施策が行われてきた。しかし、自治体独自の条例に基づく施策には法的な強制力は無く、例えば、周辺景観を損なうようなデザインの建築物に対しての規制等、強制力を伴った実効性のある取り組みが出来なかったという実情があり、強制力を伴う取り組みの必要性が高まった。このような景観行政の背景、平成15年には国土交通省『美しい国づくり政策大綱』の公表、平成16年には強制力を伴う法的規制の枠組みを有する『景観法』が策定され、札幌市においても「より美しく魅力的な街並みを創出する」ことを目的として『景観法』に基づく『札幌市都市景観条例』の改正(平成19 年12月公布、平成20年4月施行予定)、『札幌市景観計画』の策定(平成19年12月告示)により、更なる良好な景観形成を図るため、都市景観をコントロールする都市デザインの枠組みが構築された。一方、平成18年に国土交通省河川局より『河川景観の形成と保全の考え方』が出された。川づくりに関わる人々全てを対象に、「それぞれの河川や地域の自然・歴史・文化・生活にふさわしい河川景観の形成や保全をはかる」ことを目的とし、必要な視点、考える手順、整理すべき情報、活用すべき手法等が示された。 |