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 座標軸非依存の部分境界適合法による複雑な河道形状の流況の解析法

作成年度 2007年度
論文名 座標軸非依存の部分境界適合法による複雑な河道形状の流況の解析法
論文名(和訳)
論文副題 平成19年度(環-39)
発表会 平成19年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成19年度技術研究発表会
発表年月日 2008/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
寒地土木研究所安田 浩保(YASUDA Hiroyasu)
北海道大学大学院清水 康行(SHIMIZU Yasuyuki)
寒地土木研究所渡邊 康玄(WATANABE Yasuharu)
抄録
豊かな自然環境を有する河川への関心が近年高まり、河川事業においても蛇行部を復元したりワンドを配したりするなどの多様な生態系の形成に有利な複雑な河道形状が求められている。近年では、電子計算機の能力の飛躍的な向上と相まって、数値解析に基づく河道内の流況や河床や流路の変動予測が重要な役割を果たすようになってきている。ただし、数値計算の基本である直交座標系の矩形格子に基づき、複雑な形状を成す自然河道の流路形状を的確に数値計算に反映するためにはかなり細分化された計算格子が求められ、現在のCPUでもなお大きな計算負荷が発生する。それにもかかわらず、依然として湾曲部などの曲線状の境界部分は矩形格子では完全に表現することが不可能なうえ、このような領域に対して矩形格子を用いた数値計算では実際の物理現象とは無関係の渦を発生して計算精度の低下を招くことさえある。このため、河道形状に適合したうえで流況や河床変動を予測する手法が研究・開発されてきた。その先駆的な取り組みとして清水の研究が挙げられる。河川の形状を柔軟に取り込むために一般曲線座標系を導入し、これに基づく流れと河床変動の計算法の開発に成功している。この計算法では、湾曲部を含む流路でさえその形状に沿った計算格子の設定が可能である、同一の座標軸の交差が許容されない。このため、湾曲曲率が大きい場合や河道の分岐・合流を含む計算には適さない。安田は、三角形や多角形を組み合わせて柔軟かつ効率的に地形を表す地形適合セルを細密な解像度が要求される領域にのみ適用する一方、それ以外の領域には直交座標系を適用し、両者を結合して一体的に計算を行う複合計算に成功している。この複合計算法をさらに発展させたものとして、直交座標系の矩形格子では表現が困難な曲線形状などの境界部分にのみ地形適合セルを適用するものの、それ以外には直交座標系を適用する座標軸非依存型の部分境界適合法へ拡張することが考えられる。この計算法では、計算領域の大部分に対しては矩形格子を用い、境界適合が必要な箇所にのみ地形適合セルを用いるため、座標軸に依存することなく対象領域の地形形状を自由に表現できる。しかも、境界適合に伴う計算格子の歪曲は境界部分に限定されるため良好な保存性を確保できるうえ、計算領域全体で計算点を均一の密度で配置できる利点もある。この方法を適用することで、近年課題となっている北海道東部の標津川などで実施されている蛇行復元の将来予測をはじめとする蛇行河川の蛇行進展や短絡問題への適用、さらには、橋脚などの河川構造物を考慮した計算が可能になる。本研究は、自然河道を対象とした座標軸非依存型の部分境界適合型の計算法を確立するための第一段階として、境界適合セルと直交座標系から構成される部分境界適合計算法の計算特性を評価することを目的としたものである。過去に実施された蛇行流路の室内実験の再現計算をこの計算法と一般曲線座標系の両者で行い、実験値と比較してその有用性を検証した。
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