NEXCO東日本北海道支社釧路工事事務所管内では、近隣にコンクリートプラントが無く、現場までの運搬だけで1時間30分~2時間程度、現場内の運搬を含めると2時間~2時間30分程度の運搬を余儀なくされる条件の地区がある。この条件で運搬されるコンクリートは、練り混ぜ後の時間経過からコールドジョイントが発生し易いこと、著しいスランプロスから所要のワーカビリティーが得られないといった問題を抱える。これらのことから、当該地区へ運搬するコンクリートには、凝結遅延性能とスランプ保持性能を付加させる必要があり、トンネル覆工コンクリートの場合では、さらに初期強度発現性能も要求される。これらの性能をコンクリートへ付加させる方法として、凝結遅延効果とスランプ保持効果を持つ遅延形ポリカルボン酸混和剤の使用が有効と考えられる。しかし、2時間を越えるような運搬条件下でスランプ保持性能を期待した使用例は殆どなく、スランプ低下量や打込み完了時間等の管理を行うためには、スランプ保持特性や凝結遅延性能、初期強度発現性などを把握する必要がある。ポリカルボン酸系混和剤のスランプ保持効果は、ポリマーによる立体障害作用によるとされ、近年では、練り混ぜ直後のセメント粒子に作用しない配向ポリマー等を使用している場合が多い。また、余剰ポリマーが少ない領域においては、その効果が低くフローロスなどの経時変化が起こるとされる。これらのことから、時間経過後のスランプロスを抑制する場合、余剰ポリマー量を考慮することが重要と考えられる。また、遅延形混和剤は、セメントに対する混和剤添加量が多くなるほど、凝結遅延時間が延長するとされる。ことから、凝結遅延性能と初期強度発現性能の両面を考慮した配合を検討する必要がある。本検討では、スランプ保持特性として単位混和剤量、初期強度に与える影響として粗骨材最大寸法及び混和剤添加量の影響を確認し、当該地区で必要とされる性能を持つコンクリート配合の及び管理方法の検討を行った |