札幌駅前通地下歩道は既設地下鉄南北線をまたぐ上部空間に設置され、超高層ビルや重要ビルと間口全面に渡るような接続形態をとる。このような地下街とビルが通路状態で接続する事例は数多く見られるが、小規模であるがゆえに接続部に関する設計指針などはなく、地震時の相互の挙動を解析した事例もほとんど見当たらない。また、土木、建築の間で要求性能の確認がなされていない状況で、伸縮目地一枚を隔てて接続されていることも大きな問題として認識されるべきである。しかも、これらの構造接続点は、1995年兵庫県南部地震、2004年中越地震などでも明らかになったように、常に被害が集中して発生する場所でもある。この部分をショックアブソーバーとする考え方もあるかも知れないが、地下に存在した場合には復旧に多くの時間と費用を要することに加え、全面接続となると復旧の可否に関わる大きな問題となる。やはり、賢明な継手構造があってよい。それでは、賢明な継手を設計するにはどのような手順を踏み、どのように設計すべきなのか、そして、継手の具体的なアイディアはあるのか。本文は、この課題に直面し、地下歩道と沿道超高層ビルとの相互の影響を考慮した解析を行い、解析結果から目標性能を満足する経済性の高い継手を考案した報告である。 |