人事院が平成18年(2006年)度に行った国家公務員の育児休業等の取得実態についての調査によると新規の取得者は、調査が始まった平成4年(1992年) 度よりも1,389名増加して4,903名となっている。しかし、その内訳を見てみると大きな偏りが生じていることが分かる。同調査における男女比のデータであるが、女性の育児休業の取得率が91.4% に達するのに対して、男性の取得率はわずか1.1%に留まっている。当省のみに限ってみても、「男性職員の育児参加のための特別休暇」の取得まで含めたデータであるが、女性職員の取得率が94%であることに対し、男性職員の取得率は17% に過ぎないのである。これらのことから、今後さらなる育児休業取得率の向上を図ろうとすると、女性についてはすでに高い取得率となっているため、男性についての取得率向上のための方策がより必要であることが分かる。「国土交通省特定事業主行動計画」においてもその点は認識されており、「男性職員については、子どもが出生した際に、育児休業又は男性職員の育児参加のための特別休暇5日のいずれかを取得した職員の割合を、平成21年度までに、50%以上とすること」を目標としているところである。この論文では、実際1年間の育児休業を取得した男性職員の実例を育児休業に関する調査と対比することによって男性の育児休業取得率が低い要因を探り、男性の育児休業取得率向上のためにでき得る方策について考察していきたい。 |