北海道は全国の約4分の1の漁業生産量を占めており、我が国の水産食料基地としての役割を果たしている。さらに、近年では、世界の水産物の需要の高まりから、国際価格が上昇しており、我が国の輸入業者が海外の水産物を購入できない「買い負け」も発生している。今後、世界の人口の急増により、水産物需給はさらに逼迫すると予想されており、わが国の水産食料基地としての北海道の役割は更に重要になると考えられる。このような中、新たな北海道総合開発計画の策定作業が進められており、平成19年12月の国土審議会北海道開発分科会で示された新たな計画の素案の中でも、食料供給力の強化と食にかかわる産業の高付加価値化・競争力強化が施策の大きな柱として掲げられ、安全性や高品質性の確保による高付加価値化とともに、海外の農水産物や食品にも対抗し得るような競争力の強化と輸出促進が重要であるとされている。北海道の港湾及び漁港は、漁業生産を支える水産物の陸揚げ拠点であることはもちろんのこと、市場・流通等の様々な漁業活動が行われており、北海道の水産食料基地の役割を支えるためには、港湾・漁港の更なる機能強化が必要である。また、他の地域と比べて厳しい気象・海象条件を克服し、安定的な漁業生産活動を実現するとともに、漁業従事者の高齢化や減少が急速に進む中、生産活動の効率化を図ることが必要である。北海道の水産食料基地としての役割を将来に渡り確固たるものにするため、本研究は、安定的・効率的な漁業生産活動を支援する港湾及び漁港の機能の高度化方策を提案することを目的とする。 |