北海道内には多くの砕石場があり、道路等の社会基盤の整備に使われる砕石を生産しており、事業終了後、砕石事業者はその跡地の緑化を行っている。砕石跡地では、表土を除去した地山の部分を製品として出荷後、製品にならなかった砕石残渣を重機で転圧して斜面に整形する。そのため、貧栄養かつ堅密な土壌となっていて、緑化が困難なことから、植生による被覆に乏しく、直射日光や降雨等の気象条件の影響を直接受け、さらに緑化を困難なものにしている。また、砕石跡地では、牧草を用いた簡易な緑化を行うことが多いが、年数の経過とともに、牧草が衰退して裸地化し、周辺景観との違和感が出てくることが多い。砕石は山林で行われることが多いため、周辺景観と違和感が少なく、永続性があり、二酸化炭素の固定も期待できる樹木による緑化が最も適している。樹木による荒廃土壌地の緑化については、過去に石炭露天掘り跡地や治山事業施工地での研究事例があり、植栽箇所の重機による耕転等の土壌改良の効果や樹種適性が明らかにされている。しかし、砕石跡地の緑化は砕石生産の終わった最後に行われるため、土壌改良や施肥にかける経費は少ない方が望ましいと思われる。そこで本研究では土壌改良せずに植栽を行った場合の樹木の生育を明らかにし、樹木による簡易な緑化実施に向けての知見を得ることを目的にした。 |