山腹崩壊の復旧や予防など、急傾斜地を安定させるための工法としてコンクリート法枠工法( いわゆるフリーフレーム工法)が道内でも広く用いられている。鉄筋コンクリート製のフレームを約1m×1m の格子状に組むもので、鉄筋コンクリートの部分は幅20cm、高さ20cm 程度となっている。この工法の対象地が傾斜45°を越える急傾斜地であるため、 フレーム内には修景および表土安定のために牧草種子の入った土嚢が敷かれる場合が多く、完成時にはフレーム内は牧草が茂った状態となる。しかし、コンクリート製のフレームと牧草に覆われた斜面の外観は非常に人工的であり、 周囲の森林景観とは調和しにくいものとなっている。さらに、 山腹工の本来の目的が森林造成であることを考えると、 牧草のみの導入に代わって、将来的な森林の回復に結びつく木本の導入を試みる必要がある。フリーフレーム施工地は急傾斜であり、フレーム内の土嚢に高木を導入し、 成長した場合に倒れることも懸念される。しかし、 施工地の条件によっては地山が軟らかく、 根系が張れる場合もあると考えられる。以上のことから、フリーフレームへの木本導入は一義的には修景が目的であるが、条件によっては森林造成を目指す場合があると言える。修景が目的の場合には、 低木種が高木種よりも適しているであろう。本試験ではそれら複数の条件を視野に入れ、技術的な可能性を探るという目的で高木種および低木種を導入した。ここでは導入後6 生育期までの初期生育経過について報告する。 |