本道における漁港整備は現在遠大な計画のもとに進められているが、その多くは新設または拡張であって、外かく施設特に防波堤工事が全工事の大半を占める現状である。しかして北海道は一般に海岸線の出入に乏しく、港は天然の地形に恵まれず、防波堤が直接外海の荒波を受けなければならない場合が多く、旧施設中に被災したものの多い実状にてらしても、その設計を適正にすることが特に重要である。しかし過去において防波堤設計の主要素たる設計波高は、多くの場合経験を基に決定され、設計の適性を欠くことが多かった。これは波高の観測自体が非常に難しいものであり、今日まで多くの波高計が考察されてきたが、いずれも一長一短があって、特に荒天時に連続した記録を採ることのできるものがなかったためである。しかるに近年に至って、荒天にも支障なく観測できる、海底における水圧変動を記録して表面波高を求める水圧式波高計が実用の段階に入り、各地で観測が試みられるようになった。われわれは運輸技術研究所で試作改良したこの種の波高計を用い、29年度および30年度にわたり庶野・三石・歯舞・羅臼の各港において波高の観測を実施したが、その概要と観測結果に対する2~3の考察について報告する。 |