北海道の舗装体は、日本で最も烈しい自然の破壊作用を豪る。温度差±30℃にも達するばかりでなく、凍結融解の反復、積雪による衝撃の増大とタイヤチェーンによる摩損激化、また解氷期の路床土軟化等枚挙に暇がない。しかるに最近まで北海道の舗装は、本州の技術がそのままの形で導入され、寒冷積雪地の特徴は殆ど認められなかったので、舗装の消耗は甚しく、特に終戦後、道路除雪の普及と共に舗装の破壊はコンクリート舗装、アスファルト舗装の区別なく放置できないまでに激化してきた。各種の状況から判断して、これら急増した破壊の主因として(1)除雪による凍結深度の増大とそれによる凍上の激化(2)交通荷重、特に融解期交通荷重の増大に対応する路盤支持力の不足等が推定された。このような経過によって、北海道の舗装技術はここ数年の間に大きな変革が行われ、現在では、凍上対策路盤の築造、路床土質の吟味、路床排水の設置等は寒地舗装の一つの常識となった。しかしよく考えてみると、この種の変革は主として基層部について行われただけで、表層についてはまだ注目すべき程の改善は殆ど認められないのである。凍上対策路盤と組み合わせるべき表層工法については、一つは経済的な理由から、また一つは微量凍上に順応できるように舗装体に柔軟性をもたせる必要があるという技術的な理由から、次第にアスファルト系舗装が多くなりつつある。しかしアスファルト系舗装の採用に際して最も不安な点は、最初の工費がいかに安くとも長期耐用度において甚しく劣るならば、何ら経済的でないといことであろう。そこで最近私たちは寒地におけるアスファルト系舗装の耐用度とその工法を究明する必要に迫られ、第一の手段として、道内各地にある舗設後20年以上を経過して、現在なお健在であるような舗装について調査を行った。 |