ソイルセメントは路面の安定処理工法として研究され発達してきた。本道ではこの工法が試みられてから既に20年近く経過しているが、その割にこの工法が普及されていないのは、この工法の根底をなす土質力学に対する我々の逃避的態度が大きく災いしていると考えられる。さらに過去における道路工学、なかんずく舗装の工法においては路面をできるだけ土から遠ざけることにおいて発展してきた傾向にも、この工法の普及の遅れた原因があると思う。近来自動車荷重の増大、交通量の異常な増加に伴ない、これらに耐えられる道路を造るためにはどうしても土質力学を全面的に取り入れる必要が生じてきた。これら土質力学の研究と相俟って、ソイルセメントを路面の安定処理に用いることよりも、むしろ中級舗装の基層として用いるようになってきた。基礎用コンクリートに要求される性質は主として剪断・曲げ抵抗と特に膨張収縮の少ないことであり、膨張収縮と経済面の判断の下にできるだけ密度の大きい、強度の高いコンクリートを造ることに目標がある。国道12号線、28号線の一部舗装は、ソイルセメント基礎上にトペカ5cmを施工するという工法が大幅に採用された。このような工法により、セメント量は安定を保ちうる最低限で、膨張収縮の量が大幅に減じられ、目地も省略することができる。 |