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 大夕張ダム取水塔計画に関する河川現況の把握(特に水温の変化)について

作成年度 1958年度
論文名 大夕張ダム取水塔計画に関する河川現況の把握(特に水温の変化)について
論文名(和訳)
論文副題 昭和32年度(39)
発表会 昭和32年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和32年度技術研究発表会
発表年月日 1958/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
田島幸市 塚原陞三 松島武司
抄録
河川に発電施設を設けると、それが水路式であってもまたハイダム式であっても、下流河川の夏期水温が多少低下するのが普通であって、時に稲作上支障をきたすことがある。稲作用水の温度が少しでも低下することは高緯度地方や高標高地方では重大な問題である。ハイダム式発電の場合には、上流に貯水池ができて河水がある期間ここに停滞する。その停滞期間中に春から夏には主として日射によって水温が上昇する。もっとも温度が上昇するのは主に上層水のみである。したがって、温度の高まった上層水から取水するような設備があれば、下流河川の水温は従前よりもかえって高温とすることもできるはずである。ところが発電の場合、取水口は貯水池の利用水深の最下部に一箇所施設するのが普通で、水面下10.0m、場合によってはさらに深いこともありうる。したがって、その取水の温度はかなり低く、7月から8月初め頃には、貯水池に流入する河川の水温よりも低い場合がむしろ普通である。貯水池内の水温が水深によってどのように変化しているかを知り、取水口の位置を適当に選定すれば、放水温としては貯水池へ流入する水と同じ程度に、ある場合にはかえって高温とすることもできるはずである。したがって、まず、貯水池の夏期水温分布(垂直)を知ることが必要である。大夕張ダム工事においては、主貯水池たる二股ダムは直接の受益地区を遠く隔てて存在し、約50km有余を河川が蛇行している。この間に二股ダムより放流された河水が熱的にいかなる状態にあるかについて種々複雑な要素が入ってくることは容易に考えられる。二股ダムにおいて温水取水された河水が、果たしてそのままかんがい地までその効果を伝達するかどうかは定量的にはきわめて疑問である。定性的に上昇することが判っても、北海道農業の宿命である冷害を克服できるだけの定量的効果があるだろうか、これらの点について観測したデータに基づいて考察したいと思う。本調査は昭和30年6月より8月末日まで実施されたものである。
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