国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所

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 流速測定観測台

作成年度 1961年度
論文名 流速測定観測台
論文名(和訳)
論文副題 昭和35年度(40)
発表会 昭和35年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和35年度技術研究発表会
発表年月日 1961/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
川上文作
抄録
かねて流量測定に当たっての流速測定については、その作業が流勢を伴う流水であり、しかも水深が1m以上ともなれば徒渉によることも不可能となり、きわめて不安定な足場の舟船などが利用されるなど、従来不便をかこっている現況である。河川流量測定に当たり我々が最も必要とする資料としては高水時の流量である。しかしこの高水流量時における流速測定については危険感を伴ないきわめて不完全な作業に終わるのが常であり、しいては流速3~4mの高速ともなれば悪天候の条件下に置かれ、暴風雨の波浪化さらに流木などの濫流により、全く測定の作業が不可能であることがしばしばである。以上のように我々が最も必要とする高水時の流速測定が精々不安定な浮上物投てきによるよりないという現状と、あるいは多額の設備費を費やすケーブルによる流速測定に頼らなければならないという状態では河川調査計画の取りまとめにこれが大きな障壁でもあることと痛感する次第である。この高水時の測定作業になんらかの方法で敏速、簡単、かつ正確な方法がない物かとかねがね気にしていたところ、たまたま土木試験所より十勝川支流札内川の護岸水制の調査、すなわち沿岸流により生ずる護岸の水制箇所の流速および河床推移の測定のため、5月10日係官2名が来所した。当時札内川が降雨直後であったので、平水位より約60cmほど高水の状況であったが、早速小生も立合い観測に当たることになったのであるが、十勝川支流札内側は平均勾配1/180位であるから道内としても屈指の急流河川として有名であり、調査対象の本箇所は合流点より約12km上流の愛国5号地先と称し、平水位勾配1/170の所である。5月10日当時の水深約1mのわずかなものであるが、濁流の水利かなり激しく、流速2m位の流勢が本箇所護岸に激突河岸より約5m突出しているポスト水制の上部30cm位が水面より顔を出している状態であった。筒井式カレントメーター(聴音式)を持った作業員が、胴付特長のゴム靴を着用し水中に入ったが、50cmの水深の所ですでに一歩も動けない状態となり、そこで水制ポスト上部に歩み板を差し渡し、かろうじてポスト間についてのみ流速を測定することができたが、それも水勢の強く足をすくわれるため、ロットを上流側よりロープで引っ張りながら垂直を保持する状態で、いずれにしても区分的な精密な測定は不可能であったのである。持参したゴムボートにより水制工間の測定に当たっては搭乗者は勿論必死の覚悟といっても過言ではなく、しかも動員された調査員を含め全部で12人という有様で、調査に要した時間が5時間にも及び、わずか調査延長にして20m区間であった。長々と以上作業の状態を述べてきたが、毎回の調査ごとにこのような調査方法では精密正確であるべき資料の収集は到底おぼつかないばかりか、作業員の生命とも関するという危険な調査をしている現状である。以上誰もがほぼ直面し考えられていることであるが、小生も今回まのあたりこの調査方法を見て早速ながら表題のような「観測台」の作製に着手いたした次第である。すなわち以上要約して目的特徴を下記に述べると目的本機は主に河川沿岸流速あるいは水深の安全にして正確かつ精密な資料収集のため試作したものである。
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