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 気泡コンクリートによる設計と施工について(函館海洋気象台の場合)

作成年度 1961年度
論文名 気泡コンクリートによる設計と施工について(函館海洋気象台の場合)
論文名(和訳)
論文副題 昭和35年度(93)
発表会 昭和35年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 昭和35年度技術研究発表会
発表年月日 1961/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
佐藤一夫
田中勝
抄録
イ)材料的性質についてコンクリートは、セメントのなかに砂や砂利を骨材として混ぜ合わせたものであるが、この骨材のかわりに小さな気泡を、セメントペーストのなかに入れたものを気泡コンクリートと呼んでいる。これには次のような特徴がある。◎第一にムクのコンクリートではないから、水に浮くほど軽い(比重0.75~0.90)。◎第二に麻の実ほどの小さな無数の気泡が、1つ1つ独立した形で、コンクリートのなかに封じ込まれているため、熱を通しにくい。これを建築的に見ると、保温保冷、軽量、遮音という大きな内容を持ち、その上セメント製品であるから燃えることはなく、耐久力もあるので、よい建築材料ということができる。しかし上記のすぐれた点とともに欠点として見逃すことのできないものもある。◎第一にセメント製品の宿命的な乾燥収縮亀裂の発生度の問題。◎第二に被覆仕上げを施さない、表層部の中性化速度の問題などである。この気泡コンクリートは欧州では、かなり昔から研究実用化され、次いでアメリカに普及したものであるが日本ではごく歴史が浅く、つい8~9年前から1部で関心がもたれるようになり、2~3の試作品や商品が現れたようであるが、本格的になったのは昭和29~30年頃である。気泡コンクリートには、コンクリートのなかに気泡を持ち込む方法によって、いろいろの種類に分けることができる。たとえば、あらかじめ水練りしたセメントペーストの中に、外から気泡を吹き込んでやる機械的な方法や、セメントペーストに薬品を混ぜ合わせる方法によってガスを発生させる方法とか、それぞれ独自の方法が研究されていて、それによって気泡の大きさが違うとか、強度が違うとか、いずれも一長一短があるようである。ここで採用されたサーモコンの場合(サーモコンとは気泡コンクリート、または無骨材多孔質コンクリートと呼ぶものの一種で、アメリカのヒギンズ社がパテントを持つ1商品名)は泡沫混合法ではなく、セメントペーストの中に、X,Y,Zの3種類の薬品を混ぜ、仮枠につぎこんで、ペーストがおちついた頃に気泡ができてふくれるという方法である。ペースト容量約265●、ただし膨張率2.3倍すると型枠内では約6,000●となって安定する。ロ)構造についてサーモコン造りは壁式構造によることが多いが、その場合壁式鉄筋コンクリート造りや、壁式鉄筋軽量コンクリート造りに類似する構造であって、コンクリートと鉄筋をサーモコンとワイヤーメッシュに置き換えたともいうべき現場打ち1体式の構造で一応完成したものである。壁式サーモコン造りを重ねて、階数や高さを増すことも可能である。この場合サーモコン造りの規模としては平家建または2階建であるが、下階を鉄筋コンクリート造りなどの堅固な構造とし、上階に壁式サーモコン造りの部分を2層以内に限り、かつ軒高11m以内ならばさしつかえない規定である。したがってこの範囲内においては建物として3階建は充分可能なわけである。
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