最近港湾事業の増大と、入港船舶の大型化に伴い、浚渫工事のうちに占める割合は非常に大きくなり、約30%以上の比率を占めているといわれ、埋立工事を入れると45%、これに反して防波堤、岸壁などの構造物関係は22%、今後さらに飛躍的増加の傾向にある。したがって、浚渫工事に対する関心は非常に高いわけであり、浚渫能率の向上に対しては、各現場技術者各位において、非常な苦心を払っているわけである。なお同じ題目について、室建桶田技官が、別に詳細な論文を提出されている。さて、そこで、このような膨大な工事量の能率的施工に対しては、作業船(浚渫船)自体の性能向上、および浚渫技術の向上を計ることはもちろんであるが、総体的工程が気象海象の影響を受けることは別として、その他多くの現場的要素が、非常に多く影響を与えるため、その浚渫船の能率とそれらの要素との関連に対する分析をもたなければならない。さて、現在、浚渫工事に用いられている浚渫船の種類は、(1)グラブ浚渫船、(2)バケット浚渫船、(3)ディパー浚渫船、(4)ポンプ浚渫船の4種であるが、その各々の船種について、浚渫能率の向上と各要素との関連は異なると思われる。そこで、考えられるべき要素に対して、概念的でありまた簡単ではあるが、能率との関連を述べる。非常に資料数が少なく、これだけで結論を出すことはできないが、各現場技術者各位の今後の調査研究の一助にでもなれば幸いである。 |