本工事は2国札幌留萌線のうち、留萌~増毛間の中間に当たる箇所で、山裾を国鉄留萌線が通り、この鉄道と並行して国道が通っている。また、この部分では日本海が大きな湾となって入り込み、国道を噛み砕くかのように常時荒れており、1年の内、5,6,7月の3箇月くらいが比較的平穏な海上である。この激波浪を永年受けてきた在来擁壁工の基礎はなはだしく侵食され、倒壊の恐れある状態にあると同時に、現道幅員も約4mで湾曲部分が400mも続いていた。今回の工事は拡幅を目的として、在来擁壁工前面へ、新擁壁を添わせ補強と拡幅を兼ねた。何分、湾曲した海は付近の小波を寄せ集め、いつ荒れるか予測できない状態にあり、平均水深1.2mでは潜水夫も使えず、基礎の締切を考えたときは、海中の部分が約260mもあり災害は免れぬため、経済的に非常に困難であった。結局、海中でも良い品質が期待できるプレパックト・コンクリート施工に決定し、時化を受けた時の被害を最小にするため、小ブロックにして海中に点々と据付け、所定の強度を得た後に、これらの間を連結一体とし、基礎を完成させた。この上に平均高7.3mの、重力式擁壁を施工したが、今回は、海中におけるプレパックト・コンクリートとしては漏出も少なく一応成功した基礎工事の施工報告を記す。 |