総面積11,300haの泥炭地を良好な農地に造り変える篠津地域開発事業は、その基盤工事として6,400ha、330万m3の客土事業を持っているが、その早期竣工と経済的な施工という観点からそのうち2,300ha、120万m3についてはいわゆる篠津運河を掘削した捨土を客土用土として利用することとなった。そしてその工法としては運河を掘削するポンプ船の排泥水を泥水のままで輸送する送泥工法を採用することとなった。すなわちポンプ船の排泥水を一旦貯溜池に投入して貯え、泥水を沈殿によってその濃度を高めながら別途送泥ポンプで長距離輸送するものである。前例のない施工方法であるだけに多くの問題を含んではいたが、その多くの利点のゆえに着工に踏み切り、国営事業はすでに33年以来4年間に1,300ha、88万m3の施工を終了した。この工法の利点としては次の諸点が上げられる。①機械としてポンプを使用するので施工量が設備規模に比べて、大きく連続運転に適しているので年間施工量は他の工法に比較して優っている。②天候に左右されることがきわめて少なく厳寒と多雪の時期を除いては全て施工可能である。③パイプによる土砂の輸送であるのでRunning costの増加は低率で長距離の施工に適している。④ポンプ船を送泥ポンプと結びつける部分の泥水を調整する操作を除いては施工上の高低はきわめて簡単であるので人件費は低率である。⑤他の工法と違って施工に伴う付帯工事として運搬道路の建設、既設道路、鉄道、排水溝などの横断のための作工物などが不必要である。 |