北海道のような寒冷多雪という気象条件のもとで道路を築造するには、技術上解決しなければならない多くの問題がある。これらのうちで最も重要なものは、道路の凍上とその対策である。舗装道路の新設に際しての凍上対策として、現在広く採用されているのは置換工法であるが、この工法について開発局が仕様している置き換え材料の品質や、各地区に対する置き換え深さの標準値はこれまでの経験から十分満足できるものであることが確かめられている。しかしこのようにして築造した道路でも場所によっては完全に凍上被害を防ぐことはできないし、また、規定に合致するような置換材料も工事量の増加に伴って、年々その採取が困難な現状となっている。したがって、今まで良くないとされていた現場付近の材料を活用して、工費の低減を図る上から置換材料として許容できる品質限界を再確認することが強く望まれ、また従来主として、凍結深さを一応の目安として決めている置き換え深さについても、表層や基層の工種、路盤材料の種類、要求される支持力、交通量などを考慮して定めるべき性質のもので、検討しなければならない面が多く残されている。土木試験所では、置換工法に関する上述の問題の解明とさらに凍上対策路盤と基層、表層との関連において合理的な路体構造を究明する目的で、昭和35年度に1級国道36号線苫小牧市美々地内に試験道路を築造し、継続試験調査を行なうことになった。本報告は昭和35年度の調査結果の概要について述べたものである。 |