北海道に広く分布する重粘土地は約53万haに及び、特に北部オホーツク海沿岸に17万ha分布しており、そのうち農地として利用されている面積はわずか26%にすぎない。重粘土壌の一般的な特性は非常に堅密で強粘性を呈し、単粒構造をなしているため通気通水性に乏しく強酸性を呈する。このためなんらかの土地改良を行わなければ低位生産を免れない現状にある。このように理学的にも劣悪な重粘土を改良するため従来行われているものとして土管暗渠排水、砂客土などが挙げられるが、このうちでも土管暗渠排水が一般的に最も広く実施されている現状である。重粘土地帯はその生成上、地下水位が一般に低いため暗渠排水による地下水位の低下ということは考えられず、主に地表停滞水を排除するのがその目的であったが、排水することにより土壌中の空気の流通を良好にし、地温の上昇、土壌の風化促進により団粒化を進め作物根の伸長を図るという土壌構造の改善に大きな効果のあることを見のがせず、またこれが重粘土地帯の土地改良の主眼でなくてはならない。しかしながら土壌構造改良に関する基礎資料は極めて乏しく現在行われている土管暗渠排水についても経験的なものしかない現状で、その工費は機械施工の場合で1ha当たり約93,000円も必要とする。本調査は技術的、経済的にみて最も合理的な重粘土地の開発方式を見出さんがためその一方法として土管暗渠、弾丸暗渠、心土破砕を採りあげて、地温の上昇効果、土壌水分、地表地下流出量などの動態変化、および土壌理学性の経年変化を中心に改良効果の実態を把握し、重粘土地開発計画の基礎資料を得ようとするものである。 |