近年のわが国経済の高度成長は、豊かな経済社会発展への途をひらいたが、一方では、急激な人口の都市集中、産業立地の変化をもたらし大都市の交通混雑、交通事故、交通公害などの弊害が発生している。これら諸問題をいかに解決するかは今後我々に課せられた課題であろう。これらの問題解決のため運輸大臣の諮問に対し、運輸政策審議会は昭和46年7月「総合交通体系に関する答申」を行った。そのなかで昭和60年を目標年次とする我が国の経済予測とマクロ的輸送需要推計をすると同時に運営の行政措置までを述べている。このことは今後の輸送行政について大きな指針となるものと考えられる。一方、北海道は一つの島であって比較的流動量の把握が容易と思われがちではあるが、たちおくれた一次整備の事業促進に力がそそがれ、くわえて多元的な輸送行政機構の複雑さなどから、各輸送行政機構が独自に調査と予測に基づいた施設計画を樹立していた。したがってこれらの計画にもとづいて事業が展開されて来たため、相互の連繋が不十分であったように見受けられる。本調査は北海道の総合交通体系の現状分析と将来集中発生量の予測推計を行い、将来の望ましい交通体系のあり方を検討することを目的として、昭和46年を初年度とし、51年度完了を目指した開発計画調査費による交通輸送体系開発調査の報告である。 |