道路標識の着雪は、それ自体が破損するなどの直接的な被害は少なく、時間が経つと自然に滑落することから、あまり問題にされていなっかった。しかし、冬の交通事故の中には、道路標識に着雪していなかったら、避けられたのではないかと思われるものが少なくない。例えば、吹雪で見通しの悪くなった道路で、路側がよくわからないため、路側に突っ込んだり、互いに道路の中央に寄って走っている車どうしが正面衝突したり、踏切に気がつかずに、線路に入り列車と衝突するような事故が度々発生している。この様な時に、スノーポールや道路標識に着雪がなくよく見えれば、これらを目印に運転者は路側を確認できるし、踏切を示す警戒標識を見逃すこともなくなると思われる。また積雪期の雪におおわれた道路では、吹雪などのために視程が悪いときには、スノーポールや道路標識等を視標にし通行することが多く、これらに着雪すると、実際に見通せる距離(顕在視程)は非常に短くなるように、着雪は視程障害を拡大する。積雪期の道路では、路面標示は雪やスパイクタイヤによる摩擦のため見えない事が多い。このため交通の安全に不可欠な情報をもたらすものとして、とくに道路標識の役割は大きい。このようなことから、われわれは石狩川河口近くの吹雪観測施設において、標識板着雪防止実験を行ってきた。 |