道路橋の床版にプレキャスト版を使用した施工例は数少ないが、利点としては工期が短縮出来、コンクリートの品質管理が容易であり、コンクリートの寸法精度の向上がはかられるなどである。その反面構造上では、プレキャスト版相互間に継目ができるため、版の一体性が絶たれ応力の伝達が損なわれるおそれがあること、版継目上の舗装面にひびわれが生じやすいことなどの欠点がある。従って施工に際しては、プレキャスト版と桁との取付け及びプレキャスト版相互の連結には、細心の注意が必要である。版と桁との取付方法には、接着剤を使用する方法、高力ボルトで締付ける方法、および一部現場でコンクリートを打設することによってプレキャスト床版を取付ける方法などがある。またプレキャスト床版相互の継手方法については、プレキャストにより一体化させる方法や目地部分で鉄筋をつなぐ方法などがある。本文では、このプレキャスト版と桁との取付方法は、床版厚の下面に相当する部分をプレキャスト版とし、その上に場所打コンクリートを打設する方法とした。また、プレキャスト版の連結方法は、数種の継手構造を考え、鉄筋を介してプレキャスト版相互の連結を保持する方法で行った。本研究は、実橋に供し得ると考えられる断面および寸法を持つプレキャスト版の耐荷力および安全性を検討し、数種の継手構造を持つプレキャスト版の施工性、場所打コンクリートとの合成効果、床版の耐荷力及び応力の挙動を実験的に研究したものである。 |