護岸の一般的基準は、河川の規模、流水の状態、河岸の土質などを考慮して、堤防、河岸、高水敷、低水路などを安全に保護するものとして、河川管理施設等構造令(案)に記されており、護岸の合理的、経済的な設計指針を作成することは、我国の河川にとって重要なことである。幸いにして、北海道開発局では、昭和49年1月に「護岸根固工設計指針」が発刊され実用されているが、法覆工については、ほとんどの河川が経験的事実に基づいて個々に計画、設計されているのが実状で水理的普遍性を欠いている。また、最近では施行方法も工程の短縮や工費の節減から機械科され、材料も進歩して大型、簡略化される傾向にある。そこで、これらを有効に計画、設計に取り入れていくためには、指針の作成が必要であり、昭和49年度を初年度に5ヵ年計画で研究を進めることとなった。その年次計画の概要を述べると、昭和49年度は、現地調査により施行実態を把握するとともに、問題点の抽出、護岸法覆工設計指針の素案を作成した。昭和50年度は、直線水路における水理模型実験および護岸の破損実態を、アンケート様式により各建設部に依頼して調査した。昭和51年度は、各分野に渡って検討することとし、土質学的問題点として法面の安定、土砂の吸出し、法留の安定、土砂流などを、物理学的問題点としては、コンクリータの強度、摩擦および構造など、水理学的問題点としては、粗度、湾曲部の動水圧などである。また、北海道開発局技術研究会の指定課題に取り上げられ全建設部が共同で、計画上の問題として法線決定、施工順位、工法の選択など、設計上の問題として法覆材料の決定、その他設計諸元の決定など、施工上の問題として施行順序、施工機械の選択、施工上の組目などについて、総合的な研究を実施する。昭和52年度は、前年度に引き続き検討を進めるとともに「法覆工の設計施工指針」の原案を作成する。昭和53年度は、最終年として成果を取り纏めて指針を作成させるとともに、既に実用されている「護岸根固工設計指針」と一体にした指針を完成させる。概略すると以上のような年次計画で実施する予定であるが、今回はその第2段階としてアンケート調査による法覆工の破損実態と、水理型実験による護岸粗度が流速低減に及ぼす効果について報告するものである。 |