本稿の「波に関する研究」は、建設省技術研究会の指定課題として、昭和50年度を初年度として3ヵ年計画で各種の検討を進めることとなった。このようなテーマが取り上げられたのは、我国は島国でありその置かれている位置の関係より、夏から秋にかけての台風による高波、高潮、冬季間の低気圧による風波、地震による津波など海岸保全に対する条件には厳しいものがあるとともに、保全事業が体系的に進められたのは、まだ日が浅いため資料が乏しく、計画上支障をきたしているためである。特に北海道の海岸延長は、約2,734kmで日本全体(29,202km)の約10%近くを占め、都道府県別では長崎県に次いで第2位を占めているが、海岸線が単調で浸食作用が激しく中でも内浦湾沿岸および日高胆振沿岸が最も激しい浸食を受けている。そこで、今年度は保全事業を計画、実施する上で各沿岸の波浪特性をより正確に把握しておくことが必要であり、データーを収集し統計解析を行った。又、確立波高を求め保全施設の安全性の検討、並びに建造物の設計に資するための検討を進めることとしたがその途中経過である50年間の年最大波高を気象擾乱より求めた結果を報告するものである。 |