流水で知られるオホーツクの海。ここに注ぐ随一の河川・常呂川は、流域面積1,925km2を有し、その中流部に管内産業経済の中心、北見市を育み、またほか5町の動脈となってきた流れは、東三国山~三国山~武華山を結ぶ、石狩川、十勝川との分水嶺を源としている。この流域には常呂町から置戸町に亘る各所に、一万年前後を経た先住民族の遺跡が発掘されており、鎌倉時代のころまで独自の文化が栄えていたと云われている。この地に和人が定着したのは文化5年(1808年)とされ、以来管内市町は途中分村独立した町を別にすれば、開基80年以上と古くから地域独特の発展をとげてきた。しかして近年の発展は、治水安全度の向上とより多くのまた新たな水供給を要請し、自然のバランスの限界を超えようとしている。ここに治水上また水資源開発の速効性の高いダム建設が必然的に計画され、期待を担って鹿ノ子ダム建設が着工となった。ダムは高さ55.5mの中規模な重力式コンクリートダムであって、これまで多くの実績を数え、その施工計画・仮設備計画の手法はほぼ標準化されつつある。しかし築堤材料の確保は、やはり各ダム特異な条件下にあって、それぞれにおいて検討を要する課題であると思われるし、また工事に伴う濁水の処理については、その重要性の大きさにもかかわらず、設計手法が確立されていない。本文はこれら2つを主題とした鹿ノ子ダムの施工計画・仮設備計画案の策定を試みたものである。 |