北海道には数多くの火山があり、その噴出物が広く道内に分布している。このような火山噴出物の分布している地域でのフィルダムの建設の増加に伴い、当研究室では、噴出源の異なる種々の火山性土について調査研究を行ってきた。ここに取上げたシルト質火山性堆積物は屈斜路湖周辺に見られる屈斜路火砕流の第6次あるいは第7次噴出物であり、地質学的には南九州のシラスと同一である。このシルト質火山性堆積物の現在までの調査により明らかになった性質は以下の点である。1)堆積状態は噴出物が水中に堆積したものであり、堆積面に沿った水平のキ裂が発達している。2)現地盤では、自然含水比は30から45%、間げき比は堆積状態により異なるが、0.9から1.4の間にある。3)粒度分布は、シルト以下の細粒分を50から95%含み、平均80%である。また、レキは含まず、最大粒径は2mm、軽石 は見られない。粒径から見るとシラスとは異なるが、比重の小さいことなどから、粒子構成鉱物は火山ガラスが圧倒的 であり、鉱物的にはシラスと同様である。4)標準締固めによる最適含水比は36%、最小間ゲキ比は1.07である。5)現地透水試験では透水係数は大略10-3cm/secである。一方室内において締固めた状態の透水係数は10-5から 10-6cm/secであり、現地盤では水平キ裂により、透水性に関する異方性が強いと考えられる。上述の性質をもつシルト質火山性堆積物を盛土材料とする場合、あるいはダム周辺地山として残す場合は次のような問題がある。1.盛土材料としての強度、透水性2.飽和した場合の強度低下3.地震時の液状化の可能性4.浸透流によるパイピングの可能性本報告では、主として盛土材料とした場合の締固めの後の強度について述べる。 |