北海道開発局では、農業水利施設のストックマネジメントの一環として、国営事業完了地区の基幹的農業水利施設を対象に、機能診断および機能保全計画の策定を進めている。具体的には、国営造成水利施設保全対策指導事業により、平成19年度から頭首工やコンクリート開水路等の基幹的水利施設の機能診断を実施している。北海道のような積雪寒冷地で、このような機能診断を進めるためには、コンクリート構造物の凍害など、積雪寒冷地特有の劣化現象に対応する診断技術を確立する必要がある。このため、北海道開発局と寒地土木研究所が連携してコンクリート開水路の劣化状況調査及び分析を行っている。また、寒地土木研究所は鳥取大学と共同で、凍害発生の要因である水分供給状況や温度変化に関する調査及び凍害劣化コンクリートの内部状況を把握するための試験方法の研究を行っている。本報では、積雪寒冷地に適した用水路の保全技術の確立に向け、平成24年度から検討している積雪寒冷地におけるコンクリート開水路の機能診断における課題と、その課題解決に資する研究計画、現在までの検討結果について報告する。なお、研究の2年目(平成25年度)には、研究計画に基づく調査・試験の成果を報告する予定である。 |