現在の河川管理における課題の一つに、河道内樹木をどのように伐採すればよいかという事項がある。河道内の自然環境を確保するうえで河道内樹木が存在する意義は大きい。しかし、治水安全度の確保が必要な箇所においては、成長過度な樹木の伐採は治水上必要であり、河道内樹木をそのまま放置しておくことはできない。一方、治水安全度の確保のための伐採を行っても伐採効果が数年間維持されなければ、頻繁に伐採を実施するため維持管理のコストが嵩むことになる。さらに、河川環境における河道内樹木は、水辺環境林として認識されており、治水安全度の確保のための伐採であっても生態系に対して十分な配慮が求められている。河道内樹木、特にヤナギは伐採してもすぐに数多く萌芽し、2~3年後にはもとの大きさ程度にまで成長してしまうことから、水辺環境林としての河道内樹木の成長管理が重要な課題になっている。このことから伐採効率および生態系に配慮した効果的でかつ適切な伐採方法を明確にするために、伐採による樹木の変化や周辺環境の変化の調査を行い、伐採によるヤナギ類の樹形変化特性の把握を試みた。本研究は、伐採後の樹木の萌芽形態に焦点を当てて検討を行ったものである。 |