コンクリートの凍害は寒冷地において深刻な劣化の一つであり、その機構や防止方法について多くの研究が行われており、実用的には、気泡を連行することや低水セメント比とすることにより耐凍害性が向上することが広く知られている。コンクリートの耐凍害性の評価は、ASTM C 666に基づく促進凍結融解試験によることが多い。しかし、この試験法は、一定の試験条件下におけるコンクリートの凍結融解抵抗性の良否を相対的に評価するものであり、温度条件や含水条件が多様に変化する実環境下のコンクリート構造物の凍害と凍結融解試験結果との関係は明らかではない。田畑は、コンクリートの凍害に対する環境条件の影響に関する検討を行い、凍結時の最低温度、温度勾配、および、最低温度の保持時間といった凍結時の温度条件の中で、凍結最低温度がコンクリートの耐凍害性に最も大きく影響することを示した。しかし、凍結最低温度とコンクリートの耐凍害性との詳細な関係については示されていない。本研究は、水セメント比および空気量の水準を変化させた耐凍害性の異なるコンクリートを用いて凍結最低温度を変化させた凍結融解試験を行い、その結果からコンクリートの耐凍害性に及ぼす凍結最低温度の影響を水セメント比および気泡組織との関係で詳細に検討したものである。 |