これまで、「サクラづつみ」「緑の回廊」等のAGS事業において河畔林造成への取り組みが各地で行われてきたが、これらの多くは、公園や街路樹整備と同様に大苗を植栽する造園的な整備方法が用いられていた。しかし、河畔林造成が行われる場所は、冠水の可能性があったり、工事跡の裸地となっている場所が多く、植物の生育にとって厳しい環境下にあるため、大苗植栽が困難であった。開発土木研究所では水辺の樹林を「水辺環境林」と定義し、その造成方法の検討に取り組んできている。また、河畔林が魚類等の生息環境を保全するという、生態系での役割も重視されるようになってきており、とりわけ漁業関係者から「魚付林」としての効果を期待して本来自然にあるような河畔林の再生が求められてきている。そのため環境条件の厳しい河川周辺で、より自然な河畔林を再生する手法の開発が必要であると考えられる。尻別川では、現在、石狩川生振築堤、永山新川等でも用いられている「生態学的混播法」を、平成3年度より開始した「河畔林再生試験」においてはじめて実施し、7年間にわたって試験施工、追跡調査を継続してきた。また現地検討会を実施し、河畔林に関わる様々な課題の議論も進めてきた。これらによってとりまとめられた、生態学的混播法による河畔林再生手法の技術的成果と、今後の事業展開方法について報告する。 |