近年、堤防の法勾配が5割以上の丘陵堤防が増加傾向にある。これに伴い従来型の門柱・管理橋を必要とするローラゲートを使用した樋門設備では管理橋の橋長が60~70m以上で桁高も1.5m以上になっている設備もある。更には従来の管理橋構造では堤外門柱から堤防肩に設置される橋台(非固定)で支えられており、中間支柱は河川構造上設けられず景観上も好ましくない。管理に当たっては実際の洪水時にこの管理橋を渡り操作をする必要があり、実操作作業者の不安感は現状では払いきれない。これらを改善するため、近年はゲート操作の安全性の向上及び河川景観を重視した土木構造物が求められている。また、財政政策の一貫として建設コストの縮減が叫ばれ、樋門設備についても低コスト化に向けて技術開発が求められているところである。本報告は、このような状況を踏まえ「安全性・操作性と景観に配慮した樋門ゲートの開発」を目的とした、法勾配5割以上の丘陵堤防にも対応できる樋門設備を提案するため、平成7年度より新構造ゲートの調査検討を行い、多種タイプの中から総合的な技術判断により選定し、平成8年度には実施レベルにまで達したラジアルローラゲートを使用した樋門設備について報告するものである。 |