現在、函館港では、原木、水産品、小麦、石炭等の貨物が扱われており、函館圏(渡島・桧山)にある木材加工、水産加工、セメント、製粉等の地元基幹産業に供給されているところである。こうした産業は、地元経済を支える大黒柱であるばかりか、全国あるいは全道へ製品を供給するための拠点工場として重要な役割を果たしている。しかしながら、函館港の物流を担う港湾施設が脆弱であることから、コンテナやフェリーで苫小牧港や八戸港からはるばる輸送されてくる貨物もあり、また、港湾内においても施設の狭隘化により横持ちしているものも少なくない。このため、平成5年度から函館港港町ふ頭の整備を進めており、平成12年度には-14m岸壁が完成する予定である。施設供用まで残すところ3年弱となった現在、函館港をより効率的に利用する方策をさらに具体的に描いていくことが求められている。本報文は、基本的な統計資料や企業ヒアリング等を通じて、函館圏に搬出入される貨物の輸送ルートについて、地場産業との関係から基本的な流動パターンを分類整理したものである。このことにより、函館港をより戦略的に活用していくための基本的な方向と今後の調査の方針について検討を行った。 |